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ガスタービン機関車

最強機関車

  機関車は昔から力の象徴で、今でも「機関車」、「最強」というキーワードの組み合わせで検索されることが多いようです。蒸気機関車ではビッグボーイの名で有名な6000馬力級のものがアメリカには幾つもあります。そして当時のディーゼル機関車では困難であったその置換え用に開発された8500馬力のガスタービン機関車が最近までは非電化の最強力機関車でした。その後6600馬力のディーゼルが出現してガスタービンを駆逐して以降、長く1ユニットでの強力機関車は途絶えていました。 電気機関車では13000馬力を超えるものがス ウェーデンで運用されていますがディーゼルではその後運用上の利点からか、1ユニットの出力は最大でも4000馬力クラスにとどまっていました。 ジェットトレインが B-Bの軸配置で5000馬力と久々にガス タービンの威力を見せつけましたが実運用には至りませんでした。 そんな中、豊富な天然ガスを活用するためロシアが開発した11000馬力に達する液化天 然ガス機関車は再び世界最強の座をガスタービン機関車が取り戻し、改めてガスタービンの可能性を示したとも言えます。これはガスタンク部分と発電部分が2両に別れ、合計12軸を電動機で駆動し、18000トン近い牽引試験を実施しています。ガスタービン発電セットは通常の機関車1両分に収まっており、いかに小型で大出力を発生できるかわかります。

重量貨物を牽引

 ロシアは長大重量貨物列車用としてディーゼル機関車を置き換える計画で、、インドなど新興国への売り込みも検討 しているようです。 このような大出力機関車がどうなるかのもしもをやってみましょう。 ついでですからまずは国内 でDD51全盛のころの設定で遊んでみましょう。

まずは動力伝達ですが、当時の技術では大容量の液体式は無理で、機械式になります。 そもそもこのノッチマンミニ にはガスタービンでの液体式駆動の設定がな く、液体変速機は無視されています。 では機械式1速からですが、キハ391の例のごとく、重量列車用の機関車に使うにはあまりに非力です。 しかし、過 去には旅客用ですがトルク特性の同じ蒸気タービン機関車が米英で営業運転につき、試作車では6000馬力のガスター ビン機関車も存在しました。 ノッチマンミニの有料版ではガスタービンを最大出力発生点を超えて回転させる設定が可 能で、これができると昔テストされたクライスラーのタービンカーのように無断変速で発車時に強い加速力をもたせて試 すことができますがフリー版ではできないのでキハ391と同じような設定のまま機関車にして走らせます。
今では信じられないことですが国鉄でも一時は DD51重連でもパワー不足といわれるほど非電化でのコンテナ需要が見込まれたこともあったのでこの辺りを想定してみましょう。

直結1段6,500馬力級機関車

ミニへの入力は出力5000kW、最高運転速度110km/hの高速貨物用、コンテナ貨車25両1000トン牽引 とします。 できあがった編成重量を見ると機関車は運転整備重量88.8トンとなります。 かなり厳しい対衝突強度 を持たせた標準軌車体のジェットトレインとほぼ同じで、狭軌の機械式ならまだ軽 くできそうですが変更できないのでそのままとします。 なお、ミニでの設定を重量列車用とすると機関車重量は110 トンを超えるようで、粘着重視ということのよ うです。 この重量では当時の国鉄亜幹線で運用できないのでC-Cで軸重15トンあたりに収まる88.8トンを使います。

これが引張力曲線です。

起動引張力はDD51重連よりかなり弱く、粘着限界(暗い赤で塗られた三角形の領域)の関係もあり28500kg となります。 次が加速力曲線。

な んと25‰で起動できません。 20‰でも心もとない状態です。 ところが10‰均衡速度はなんと118km/hに達します。 速度種別A18という貨物 列車とは異様です。

勾配線では運転できないので平坦線を作成してシミュレーションします。 縦断面図の一部がこれです。

勾 配、曲線ともに緩くなっています。 比較用として同じ出力の液体式ディーゼル機関車を作ります。 ミニでのフォイト、メキドロ指定はDD51に合わせて フォイト式 とします。 これならコンバーター切替時の加速中断も生じません。 出来上がる機関車は2両に分割され1両99トンほどになり、DF200クラスになりま す。 引張力の比較です。

液体変速機の威力で低速で強い引張力を出しますが粘着限界により最大引張力は55トン程度に制限されます。 それ でも70km/h付近までは直結式ガスタービン機関車を上回ります。

加速力曲線では25%起動は十分可能で1速目のコンバーターの低速使用制限もまずクリアー、速度種別はB9と出ま す。

途中停車駅を5つとしたときの運転曲線が次の表です。 力行部分の色別に緑がガスタービン、黒がディーゼルです。

曲 線、勾配ともにゆるく速度も高めなためガスタービンが有利な速度となっています。 しかしさすがに直結1段で 1000トン牽引では起動が大変で、停車後の 加速で出だしの悪いガスタービンがかなり出遅れますが、途中から挽回する場面がみられます。 なお、直結段を持たな い大出力液体式ディーゼルでは気動車の ようにノッチを戻して一定速度を維持出来ません。 液体変速機はその特性上、効率がよいのはエンジン回転数と変速機 の出力軸の回転数とで決まるある特定の狭い範囲に限定されるます。 それ以外では変速機が加熱し破損してしまうのです。 列車の所要出力、速度に応じて使 用出来るノッチが制限され。結果的に速 度、エンジン出力から決まる狭い範囲でのみでしか絞り運転ができず、その範囲を外れるとノッチオフして惰行運転しな いといけないのです。 DD51では運 転台に警告灯があり、運転士がそれをみてノッチオフしていました。
この関係でシミュレーションでも定速巡航ができない設定になっており、運転時分上若干不利になっています。

1 分31秒の差がでています。 しかし、燃料消費に恐ろしい差が生じています。 ディーゼルでは2293.98kgに 対し、ガスタービンでは実に 5045.36kgと倍以上、明らかに気動車列車を想定した時とは状況が違います。 加速の悪い重い列車ではガス タービンの効率の悪い低速領域を使う時間が長いためです。

液体式の場合、低速引張力が強いので機関車出力は半分でも上のような路線なら運転可能です。 機関車も1両となり 効率的です。
早速試してみると、運転時分は4:59:37と流石にゆるい勾配でも速度低下して20分以上遅れてしまいます。 し かし燃料消費は減少し、、1816.01kgと重連運用より2割ほど低減可能です。

機械式の場合、現実にはM1A1戦車よりも強力な機械式多段変速器車両は存在しないため、更に強力な変速機を作れるか どうかです。 変速時の衝撃による機械的強度がますます要求され、厳しいものとなります。 ソフトではガスタービンの場合、機関車でも4速まで設定出来ま すので試してみましょう。
機関車重量は4.3トンほど重くなります。 運転時分は4:31:15と直結1段より3分ほど短縮、燃料消費は 4839.6kgと4%ほど改善していま す。 1速でこの運転時分にするには出力を5700kW近くにする必要があり、燃料消費は5330kgを超えます。運転時分の面から見たら多段変速は有用とも言えます。

 

最新鋭電気式ガスタービン機関車

  では現代の設定でこれをやってみましょう。 ガスタービン、ディーゼルとも効率は高く、ガスタービンは熱交換器付、高速交流発電機直結VVVF制御という パターンです。 現代の技術では電気式は液体変速機より軽い交流発電機を使い推進軸よりは重い交流電動機を使うとうスタイルになります。 連 続で変速運転する大容量の液体変速機の冷却系を考えると機関車としての重量は甲乙つけがたい状態と思われます。 このソフトでは 電気式がやや軽く算出されています。  もちろん2両に分散する必要がありガスタービンのような大出力単機牽引というわけにはいきませんが粘着重量がかなり 大きくなるので牽引力には有利な面もあ ります。 下の加速力曲線では赤のディーゼルが低速で有利で、 粘着限界で牽引力が制限されるガスタービンより加速性能が良くなっています。

運転曲線ではこれが響いて発車後の加速は電気式ディーゼルがトップです。 図で力行部分の色別に緑が電気式ディー ゼル、黒がガスタービン、藍が液体式ディーゼルです。

運転時分では出だしの良さが効いて僅差で電気式ディーゼルがトップとなりました。 液体式は変速機の効率で電気式 に及ばず加速力で負けているため運転時分、燃料消費で不利になります。

燃料消費量は液体式で21826.67kgとエンジン効率向上で従来技術設定より改善、 電気式ではディーゼルが2050.39kgと液体式よりも少なく、最新の高効率電気式動力変換の威力を見せています。 ガスタービンでもエンジン効率向上 と熱交換器の効果で2202.78kgに収まり、高い出力を発生できることを考えると選択肢にしても良いのではないかと思われるほどです。

 

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