アニメと映画

映画に見るガスタービン

 ジェットエンジンと異なりガスタービンは地味な存在であり、映画やアニメーションで表立ってガスタービンの特性が描写されることはあまりありません。「トルク」というアクション映画はY2Kガスタービンバイクが登場しますが、あの特徴的なエンジン音がレシプロエンジン音に”吹き替え”られていたのはお笑いでした。
おそらくバイクのイメージとして低音の効いたレスポンスの良い大型レシプロバイクのエンジン音があまりに定着しており、レスポンスの悪いキーンというジェット機の音がしたのでは観客が戸惑うのではと配慮したのかもしれません。

似たような例にバトルシップというSF映画があります。ハワイ沖での日米合同演習がエイリアンの侵攻に遭遇するとう設定で、イージス艦が中心的役割を果たし、機関室を模した場面も登場します。昔からあるテーブルゲームにこじつけるためかなり無理な状況設定となってはいるものの、きれいでかなりまじめに作りこんだCGと日米両軍協力による実写を交えた珍しい作品で、ガスタービン艦船の特色も出ているのでは期待されましたが全くの期待はずれでした。
停止状態から全力加速する際も含めエンジン音はすべてレシプロボートそのものだったのには笑えました。今どきのイージス艦がレシプロエンジン音を出していると一般人は考えていると思っての吹き替えなのでしょうか。
(埋め込み動画はアニメとは関係ないイメージ動画です。)


エイリアンが機関室で暴れるシーンは流石に大型ディーゼルのハリボテではなくLM2500おぼしき小型のガスタービンのハリボテが設置されてはいましたが。


アニメに見るガスタービン 1

これに対し、国産SFアニメに興味深いものがあります。、タイムスリップという奇想天外な設定でイージス艦が活躍する「ジパング」というTVシリーズで、さり気なくガスタービン艦船であることを意識させる場面を散りばめています。原作からのアニメ化に際し海上自衛隊の協力があったらしく、この手のSFものにしては当然の、現実をあまりに無視した過大な表現が抑え気味となっています。
効果音もガスタービン音を再現、上記バトルシップとは全く異なる描写となっています。さらにガスタービン艦船の機動性を示す場面が幾つか取り入れられ、当時の軍人の会話の中に、
「聞いたことのないエンジン音です。」
「たった30秒でだとっ」
「煙が出ていない!」
「機関音が全く違う。」
「なんという艦だ。」
といった内容が取り入れられ、ガスタービン艦の特徴をかなり際立たせています。

(埋め込み動画はアニメとは関係ないイメージ動画です。)

(埋め込み動画はアニメとは関係ないイメージ動画です。)

アニメに見るガスタービン 2

2014年9月、キハ391関係のページへ国内からのアクセスが急増しました。熱心な軍事マニアが世界中にいるためか、M1戦車のページはときどきブログなどで紹介されて英語のページへのアクセスが増えることがるのですが、極めて地味なキハ391のページとなると変動は殆ど無く、キハ391が廃車、留置されていた大宮工場で動きがあるとわずかに変化する程度でした。今回の増加は急激で、しかもブログやツイッターからではなく検索からの訪問が多く、さらにその中にキハ381というめずらしいキーワードが含まれていました。少し調べてみると「RAIL WARS!」というアニメが放送されたことがわかりました。原作は国鉄が存続したままという平行世界を想定し、その別世界を舞台にしたライトノベルで、その中にキハ381系というガスタービン動車が登場します。そしてその列車たるや先頭形状はキハ81系「はつかり」そのもので、東北本線を臨時「はつかり」として運転されるのです。セリフにはヘリコプター用12000馬力のガスタービンを搭載、国鉄気動車では最速の列車と紹介されていました。荒唐無稽な設定の割に音は現実的で、発車シーンも電気式ガスタービン車を彷彿させるものです。

 この車両が実際に走った場合、どのような走行性能を発揮するのでしょうか、ノッチマンミニの英語版でも国鉄時代の車両や東北本線のサンプルが付属しています。 そこで次の項ではそれらのデータを使って遊んでみましょう。